Abstract : |
今まで三尖弁輪面積変化をin situで連続計測する方法はなかった. 今回われわれは生体内でリアルタイムで面積変化を計測する方法を開発したのでそれを用いて, 弁輪縫縮術による三尖弁輪面積変化を記録し解析した. inflow occlusion法により右房切開後三尖弁輪に沿い金属糸を縫いこんだ. これを受信アンテナとして, 両端に惹起される電位をロックインアンプで増幅して記録した. 送信機は3つの異なる周波数をもつ送信コイルを使用した. 三尖弁輪面積(TVAA;Tricuspid Valve Annular Area)は心室収縮の進行とともに減少し始め等容弛緩期, 心室充満期に最小値をとる. この時期は右心房から右心室への急速流入期に一致する. 次いで, 心房収縮によりやや減少するものの最小値より増大しはじめたTVAAは, 心室収縮開始時に最大値となった. 心拍出量が1.20~2.05L/minの時, 一心周期内でTVAAは最大値3.10~2.18cm2, 最小値は2.45~1.82cm2で最大値の平均17.40%少ない値であった. 三尖弁輪を縫縮してゆくと心拍出量が減少しはじめ, 次いで右心房圧が上昇し右室圧が低下してくる. この血行動態が変化する点は, TVAAがコントロールの心周期内の最小値よりも小さい値を示す時であった. つまり右心房より右心室へ血液流入期の弁輪面積以下に狭く縫縮しなければ, 大きく血行動態が変化しないことがわかった. |