アブストラクト(37巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 原発性肺癌手術例にみられた肺多発癌と重複癌の検討
Subtitle : 原著
Authors : 西山祥行, 神楽岡治彦, 黒木基夫, 高橋健郎, 北谷知己, 松山智治
Authors(kana) :
Organization : 国立療養所松戸病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 1
Page : 56-61
Year/Month : 1989 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1977年4月より1984年3月までの7年間に, 国立療養所松戸病院において切除された原発性肺癌は337例であった. このうち臨床的に重複癌と診断し, 治療した24例(7.12%)について検討した. 性別では男17例, 女7例と男性に多く, 肺癌切除時の年齢は32歳~81歳(平均67.4歳)と高齢者に多くみられた. 臓器別の組み合わせでは, 肺・肺の多発癌が9例と最も多く, 次いで肺・胃5例, 肺・大腸4例, 肺・膵2例, 肺・唾液腺, 肺・皮膚の各1例であった. また肺多発癌に乳癌を重複した1例と食道癌を重複した1例がみられた. 24例中14例は同時性, 8例は異時性であり, 肺癌の組織型は, 肺単発癌13例では腺癌6, 扁平上皮癌2, 大細胞癌3, 小細胞癌1, 腺扁平上皮癌1であったが, 肺多発癌の11例では扁平上皮癌が17と最も多く, 腺癌5, 大細胞癌1であった. 治療法は, これら24例の肺癌においては肺葉切除19例, 肺全摘除4例, 肺部分切除1例の外科切除が, 第2癌に対しては他臓器癌を合併した例では全例手術療法が, 肺多発癌では肺葉切除1例, 放射線治療2例, BAIその他3例が行われた. 第2癌治療後の予後をみると同時性重複癌14例中4例は4年1カ月以上生存例で, 7例は1年4カ月以内に癌死した. 異時性重複癌8例中3例が5年以上再発なく健在であり, 2例が6カ月以内に癌死した. 平均寿命の延長や診断技術や治療法の進歩により, 肺癌を含む重複癌症例の頻度も増加している. 肺癌例には高齢者が多く, 患者のfollow upに当たっては第2・第3癌の発生に常に留意し, 定期的, 且つ長期的な検査が必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 原発性肺癌, 重複癌, 肺多発癌
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