アブストラクト(37巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 川崎病冠動脈病変に対する冠動脈バイパス手術の早期, 並びに遠隔期成績
Subtitle : 原著
Authors : 小原邦義, 八木原俊克, 岸本英文, 磯部文隆, 山本文雄, 南渕明宏, 鬼頭義次, 藤田毅, 鈴木淳子*, 神谷哲郎*
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓外科, *国立循環器病センター小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 1
Page : 103-109
Year/Month : 1989 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 重症冠動脈病変を示す川崎病22例に対し, 冠動脈バイパス手術を行った. 年齢は1歳から19歳, 平均8.3歳で, 5歳以下の症例が7例であった. 冠動脈適応血栓による急性冠動脈閉塞に対し, 冠動脈内血栓溶解療法(PTCR)施行後に緊急手術を行ったものが2例(1歳, 3歳), 予定手術が20例であった. グラフト材として, 2例は自己大伏在静脈(SVG)のみ使用し, 15例は内胸動脈(IMA)のみ使用, 5例はIMAとSVGを併用した. 手術成績は, 遠隔死亡1例(1歳緊急手術例, 術後3カ月突然死)とグラフト狭窄による遠隔期の狭心症再発を1例にみたが, 他の症例の術後経過はおおむね良好であった. 負荷心筋シンチによる虚血所見の明らかな改善は, 術後早期には59%(7/12)と少なかったが, 遠隔期には75%(9/12:いずれもIMA症例)と増加を認めた. グラフト開存率は, 術後早期ではIMA100%(20/20), SVG88%(7/8), 遠隔期(平均17.5カ月後)では, IMA92%(11/12), SVG67%(6/9)とIMAの長期開存性が優れていた. なおIMA使用の8例で, 遠隔期にIMAが太くなり, 血流量が増加している造影所見が得られた. 以上より, IMAは, 幼小児例におけるグラフト材として優れていると考えられた. 但し, 5歳以下の症例では, SVGの遠隔期開存性は不良であり, IMAも閉塞1例, 吻合部狭窄2例を認めたことから, その手術に当たっては細心の注意を必要とし, 且つ適応並びに術式の決定はより慎重にすべきと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 川崎病, 冠動脈バイパス手術, 内胸動脈グラフト, 開存率, 遠隔成績
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