アブストラクト(37巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 急性心筋梗塞に合併した左室自由壁破裂-9症例の検討-
Subtitle : 原著
Authors : 望月高明, 川上恭司, 伊村郁夫, 和田誠之, 土谷太郎
Authors(kana) :
Organization : あかね会土谷病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 1
Page : 110-116
Year/Month : 1989 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和58年1月より昭和62年8月までに経験した急性心筋梗塞に合併する左室自由壁破裂9症例を呈示した. これは同期間に入院した急性心筋梗塞384例の2.6%に相当した. これら9例中6例で外科的に破裂口閉鎖を行い, うち4例を救命できた. 心破裂症例を発症直後の臨床症状と血行動態により, 従来のblow out typeとsubacute typeに中間型を加えて, 3型に分類した. 中間型とは意識消失を伴うほどの血圧低下を呈するが, 内科的処置により血圧, 意識とも回復し, blow out typeに比較すると外科的治療を行う時間的余裕の存在するtypeである. blow out typeの4例では, 体外循環下の破裂口閉鎖1例, CCUでの開胸下タンポナーデ解除のみ1例, 内科療法のみ2例を行ったが生存例はない. subacute typeの3例はすべて外科的に破裂口閉鎖を行い3例とも生存している. 同様に手術的に破裂口閉鎖を行った中間型の2例では, 1例を救命できたのみであった. 心破裂の危険因子の検討では, 狭心発作の既往のない初回心筋梗塞例, 緊急冠動脈造影検査で閉塞した責任冠動脈末梢に側副循環を認めない症例に心破裂が高率に生じていた. 今後, 関連の深い危険因子を有する症例では, 常に心破裂の合併を念頭において急性期治療を行い, わずかの臨床症状, 血行動態の変化でも直ちに心エコー検査(echo free spaceの確認)を行い, 早期診断を心がけ, 外科チームとの連携により, 迅速にタンポナーデ解除, 破裂口閉鎖を行うことが肝要である. 特に中間型の成績をいかにして向上させるかがポイントとなる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左室自由壁破裂, blow out型, 中間型, subacute型, 外科的破裂口閉鎖
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