| Authors ： |
北村一雄, 大畑正昭, 奈良田光男, 飯田守, 大森一光, 伊良子光正, 中村士郎, 名取宏, 瀬在幸安 |
| Abstract ： |
自然気胸の原因とされる気腫性肺嚢胞症はしばしば両側に認められることから, 一側性気胸であっても常に対側気胸発症の可能性を念頭に入れておく必要がある. 両側性気胸は, 教室において全気胸症例の16.6%を占めるが, 1975年以降の教室における両側同時気胸20例, 両側異時気胸68例の両側自然気胸88例について, その特徴及び治療方針などにつき検討を加えた. 両側同時気胸例は, 10歳台後半で気胸歴を有する症例に多く, また虚脱の程度が軽い症例が多く, 両側一期的手術が望ましい. この際の開胸アプローチは, 患者の選択にある程度まかせて良いと思われるが, 教室では両側腋窩切開または胸骨正中切開を用いている. 両側異時気胸は, 両側とも気胸歴を有する症例においては, 一側手術後の対側再発率が30%と比較的高率であり, 特に10歳台では, 一側手術後対側発症率が高いこともあり, 10歳台の若年者においては両側一期的手術が望ましい. また一側手術後の対側気胸発症例においては, 対側にも気腫性肺嚢胞を高率に認めることから, 対側気胸発症時には手術が望ましいと思われる. |
