Authors : |
中井義廣, 片岡善彦, 坂東正章, 滝浩樹, 日浅芳一, 和田達也, 森本眞二, 浜井一人, 相原令 |
Abstract : |
A-Cバイパス術後遠隔期(平均29カ月)のグラフトの開存性に関して, どのような因子が影響しているかを検討した. 開存したグラフト(開存群)と閉塞したグラフト(閉塞群)では, 開存群の方が術後に定期的な運動が行えていた. 術後遠隔期の血清尿酸値は, 開存群が閉塞群より有意に低かった. HDL-コレステロール値は, 開存群が閉塞群より有意に高かった. 術中測定した冠動脈血管径は, 開存群が閉塞群より有意に大きかった. グラフト流量は, 開存群が閉塞群より有意に多かった. グラフトのpatencyと各説明変数間には, 冠動脈血管径, 術後の定期的な運動, HDL-コレステロール値がそれぞれ有意な正の相関関係を示した. 血清尿酸値とは, 負の相関関係が認められた. 基準偏回帰係数ではpatencyと冠動脈血管径, HDL-コレステロール値との間にそれぞれ有意な正の相関関係があった, 各説明変数間の相関では, 冠動脈血管径とグラフト流量, グラフトの方法とグラフト流量HDL-コレステロール値と定期的な運動の間にそれぞれ有意な相関関係を認めた. 変数増減法により求めたグラフト開存に寄与する説明変数は, 冠動脈血管径, 術後の定期的な運動, 血清尿酸値, HDL-コレステロール値の4項目であった. この4複合因子の重相関係数は0.562(p<0.01)で, 寄与率は31.6%であった. 以上より, A-Cバイパス術後遠隔期において, グラフト開存率をより高値に保つためには, 定期的な運動を行うと共に, 食事療法が重要と考えられた. |