アブストラクト(37巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 単心室・肺動脈狭窄症を伴った胸腹部型心臓脱に対する1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 橘秀夫*, 顔邦男, 大橋秀隆, 細川裕平, 山口眞弘
Authors(kana) :
Organization : 兵庫県立こども病院胸部外科, *三木市立三木市民病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 1
Page : 148-153
Year/Month : 1989 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は8歳男児. 生直後にチアノーゼと臍帯ヘルニアを指摘されて緊急入院し, 精査の結果, 単心室・肺動脈狭窄症を合併した胸腹部型心臓脱と診断された. 臍帯ヘルニア及び心臓脱に対して保存的治療を行い良好な皮膚形成がみられた. その後, 脱出心を保護する装具を考案して慎重な経過観察を行っていたが, 7歳頃からチアノーゼの増強と頻回の頭痛発作が出現したため, 8歳時に上行大動脈・主肺動脈間のセントラルシャントと胸腹部心膜腔作成・脱出心還納手術を行った. 還納手術は, 横隔膜前方部分(心嚢横隔膜面)を下大静脈近くまで大きく切開, 肝左葉を横隔膜から遊離して左背側に充分な還納スペースを作成することにより, 脱出心及び大血管の圧迫屈曲を来すことなく腹腔内へ還納しえた. さらにEPTFE膜を用いて, 還納した脱出心を包み込むような形に縫着することにより, 胸腔内の固有の心膜腔と大きな交通口でつながる新しい胸腹部心膜腔を作成した. このような胸腔から腹腔にまたがる心膜腔作成は, 文献的にみて胸腹部型心臓脱に対する最初の術式と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腹部型心臓脱, 外科治療, 合併心奇形, 胸腹部心膜腔作成・脱出心還納手術
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