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雑種成犬を用いて同種気管移植で広範囲気管切除後の気道再建実験を行った. 胸部気管10軟骨輪を切除後, 同種気管5軟骨輪を移植し, 血行再建の目的で移植気管に有茎大網弁を被覆した. 免疫抑制剤はFR900506 0.1mg/kgを毎日筋注にて投与した. 28頭中20頭に移植気管の生着を確認した. 11頭が30日以上, そのうち, 3頭が120日以上生存した. 残る8頭中6頭は術後日数が5日以内と短いため生着の有無は判定できなかった. 拒絶反応は1頭にみられたのみであった. 経時的な気管支鏡による観察では, 術後1～2週間目までは移植気管の粘膜は暗赤色浮腫状であるが, 約3週間後には正常な所見を呈した. 移植気管は組織学的にも正常な気管の構造を保っており, 上皮は杯細胞を混じる繊毛多列円柱上皮が再生した. 吻合部の狭窄や肉芽形成は1例も認めなかった. 動脈内色素注入による検討で大網と移植気管の間に血行が成立しているのが証明された. 走査電顕による検討でも長い繊毛を有する上皮が再生しているのが証明された. 本法は気管外傷, 癌の気管浸潤, 気管腫瘍など広範囲気管切除を余儀なくされた場合の気道再建に臨床応用可能な方法と考えられる. |
