アブストラクト(37巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 完全型心内膜床欠損症に対する根治手術成績-手術時期と遠隔期成績-
Subtitle : 原著
Authors : 安藤廣美, 安井久喬, 角秀秋, 米永國宏, 西村陽介, 岩尾初雄*, 福田省史*, 溝口康弘*, 砂川博史*, 本田悳*
Authors(kana) :
Organization : 福岡市立こども病院感染症センター心臓血管外科, *福岡市立こども病院感染症センター循環器内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 2
Page : 265-273
Year/Month : 1989 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 完全型心内膜床欠損症(CAVC)25症例に対し一期的根治手術を施行した. 年齢は平均18カ月(2カ月~6歳), 体重は平均7kg(2.8~13.8kg), 内乳児15例(60%), Down症合併は15(60%)であった. 初期の5例にSingle patch technique(SPT), 以後20例にTwo pathc technique(TPT)を採用した. 手術死は2例(8.0%)で, SPTを用いた症例を僧帽弁狭窄によって術後7日目に失い, TPTを用いた症例を合併するlarge VSDの見落としにて術中に失った. 病院死は無かった. 平均肺動脈圧(mPA), 肺・体血圧比(Pp/Ps), 肺血管抵抗係数(PVRI)は術前それぞれ56±14mmHg, 0.92±0.13, 6.2±4.9WU・m2から術後はそれぞれ31±16mmHg(p<0.001), 0.54±0.20(p<0.001), 4.6±4.0WU・m2(NS)と著明に低下したがmPA 40mmHg以上の遺残肺高血圧(PH)を6例に認めた. 1例が術後にtorn chordaeを合併し, 僧帽弁置換術を受けた. 術後のfollow up期間は5カ月~5年3カ月(平均26カ月)である. 体重は術前67%Nであったものが, 術後3年目には87%Nまで順調にcatch upした. 術後4カ月, 1年8カ月に2例の遠隔死(8.7%)があり, いずれも遺残PH例であった. ジギタリス, 利尿剤の投与状況を見ると, 術後6カ月の両剤の投与率は遺残PH例で何れも100%であるのに対し, 非PH例はそれぞれ71%, 55%であり非PH例において心不全の回復が良好であった. また手術時年齢と術後のmPA圧間にはy=0.65x+21の有意な正の相関を認めた(p<0.01). 以上よりCAVCに対する一期的根治手術成績は良好であり, 術後遠隔期成績向上のためには弁荒廃, 肺血管病変の少ない乳児早期の手術介入が必要と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 完全型心内膜床欠損症, single patch technique, two patch technique, torn chordae 肺高血圧
このページの一番上へ