Abstract : |
僧帽弁閉鎖不全症21症例を対象として術中採取した左室心筋の組織像と術後の心機能の関連を検討し以下の結果を得た. なお, 左室心筋標本はfibrosisの面積%(%fib.)を光顕写真より定量化し, また心筋細胞内の微細構造変化を電顕写真よりスコアー化(EM-score)した. 術後心機能は心エコー図法により安静時及び運動負荷後に測定, CI, SVI, EF, FS, mVcf及びその変化率(%△)を指標とした. 1.EM-scoreは安静時EF, FS, mVcfと各々r=-0.653, -0.629, -0.712(各々p<0.005)また運動負荷後EF-ex, FS-ex, mVcf-exと各々r=-0.687, -0.665, -0.708, (各々p<0.005), 更に%△EF, %△FS, %△mVcfと各々r=-0.79, -0.761, -0.811(各々p<0.005)の良好な相関を認めた. 2.%fib.は安静時心機能とは有意な相関は認めないが, 運動負荷後EF-ex, FS-exとr=-0.577, -0.599(各々p<0.01), 変化率%△EF, %△FS, %△mVcfと各々r=-0.603, -0.611, -0.593(各々p<0.01)の良好な相関を示した. 3.EM-scoreと%fib.とは有意な相関は認めなかった. 4.MR症例における術後左室機能と心筋組織構造変化とは密接な関係が証明され, EM-score 7以上, %fib.14%以上では術後の心機能及び心予備力は不良であった. |