アブストラクト(37巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 拡張型心筋症の予後不良因子の検討-心移植レシピエント候補者の選択にむけて-
Subtitle : 原著
Authors : 大塚英明, 柴田昭
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第1内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 2
Page : 318-325
Year/Month : 1989 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 拡張型心筋症110例(LVGにてLVEF50%以下, 心エコー図にてLVDd5.5cm以上)の病態及び自然歴を調査し, NYHA機能分類, 胸部X線像, 心エコー図, ホルター心電図, 心臓カテーテル検査及び心筋生検の諸指標について, Kaplan-Meier累積生存率曲線を用い予後不良因子を検索し, 心移植のレシピエント候補者について考察した. なお2群間の生存率の差の検定は一般化Wilcoxon検定を使用した. その結果, 本症の診断確定後の3年生存率は78%, 5年生存率は62%であり, 死因は心不全死13例, 突然死15例及び非心臓死1例であった. また, 最大限の内科治療にも関わらず入院後もNYHA4度の心不全が持続する例では全例6カ月以内に死亡した. 初回検査時の指標による予後の検討では, LVEDVI 150ml/m2以上の群では3年生存率66%, LVEDVI 200ml/m2以上の群では3年生存率36%と極めて予後不良であり(p<0.01), 右室心内膜心筋生検において心筋細胞横径中央値が25μmをこえる群では3年生存率42%と不良であった(p<0.05). また, 経過中Sustained VT(30秒以上持続するVT)を認める群では3年生存率32%と極めて不良であった(p<0.01). 更に観察期間中, NYHA機能分類悪化群では3年生存率57%, CTR悪化群では3年生存率77%(p<0.05)といずれも不良であった. 以上より上記の各群においては, 心移植により予後の改善が期待されるため, 心移植のレシピエント候補者と考えられた. また最大限の内科治療によってもNYHA4度が持続する例では6カ月以上の生存は困難であり, 移植の適応時期と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 自然歴, 予後規定因子, 特発性拡張型心筋症, 心移植
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