アブストラクト(37巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 70歳以上の高齢者に対する冠動脈バイパス術
Subtitle : 原著
Authors : 末広茂文, 清水幸宏, 北井公二, 八百英樹, 寺下一弥
Authors(kana) :
Organization : 関西労災病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 2
Page : 326-330
Year/Month : 1989 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 当院における70歳以上の待機的冠動脈バイパス施行例26例(70~78歳, 平均72.7歳, 男性16, 女性10)を対象とし, 術前合併症, 冠動脈病変, 手術成績につき, 70歳未満の76例(平均60.5歳, 男性57, 女性19)との比較を行うと共に, 70歳以上例を前期, 後期の各13例に分け, 手術時期により差がみられるか否かにつき検討した. その結果, 70歳以上例では術前合併症として腎機能低下(13例, 50%), 肺合併症(6例, 23%)が未満例に比し有意に多かった. 左冠動脈主幹部病変例の頻度は8例(31%)と未満例の2倍であったが有意の差ではなく, また心機能についても差がなかった. 平均バイパス数は70歳以上, 未満例ともに3.0枝であり, 大動脈遮断時間, 体外循環時間には差を認めなかった. 手術死亡は70歳以上では3例(11.5%)と未満例の2例(2.6%)に比べ多かったが有意の差ではなかった. 術後合併症については70歳以上で不整脈, 脳, 肺, 腎合併症が多い傾向がみられた. 手術時期による比較では, 前期では病院死亡率は23.1%と不良であったが, 後期では死亡は術後紅皮症による1例のみで, IABP使用例はなく, 術後合併症は著明に減少していた. 以上から, 70歳以上の高齢者では手術のリスクは高いものの, 症例の増加と共に成績の向上が得られ, 若年者とほぼ同様の手術成績が期待できるものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 高齢者, 虚血性心疾患, 冠動脈バイパス術, 術後合併症, 脳合併症
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