アブストラクト(37巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 骨肉腫肺転移に対する外科治療成績の検討-両側多発例及び隣接臓器浸潤例に対する積極的切除の意義-
Subtitle : 原著
Authors : 前田元, 中原数也, 大野喜代志, 藤井義敬, 橋本純平, 三好新一郎, 松村晃秀, 水田隆俊, 中川勝裕, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 2
Page : 344-349
Year/Month : 1989 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1975年以降, 当科で行った骨肉腫肺転移に対する手術成績について検討した. 術前後に強力な化学療法を併用し, 両側多発例及び隣接臓器浸潤例に対しても積極的に手術を行った. 症例数は23例で, 平均年齢は17.0±9.1歳であった. 手術件数は46件で, 術式は, 肺全摘1件, 肺葉切除3件, 肺部分切除37件, 隣接臓器切除5件であった. 全症例の初回開胸術後の5年生存率は21%であった. この成績は, 過去の開胸術を行っていない肺転移症例の予後と比較して有意に良好であった(p<0.001). 予後因子について検討した. 転移数5個以下の群の3生率は57%であったのに対し, 6個以上の群では0%であり, 有意差を認めた(p<0.02). 転移巣の数と大きさを同時に評価する指標として, 直径と個数を掛け合わせたものの総和をnumber-size score(NS score)とした. NS score 6以下の群の3生率は73%であったのに対し, 7以上の群では, 9%であり, 有意差を認めた(p<0.001). 原発巣治療開始から肺転移発見までの期間, 手術回数, 組織学的に見た化学療法の効果には予後との間に有意の関連性は認められなかった. また, 隣接臓器切除症例には, 長期生存は認められなかった. 以上より, われわれは骨肉腫肺転移症例に対して, 今後も強力な化学療法と共に, 集学的治療の一環として積極的に肺切除を行う方針であるが, 20個以上の多発例あるいは隣接臓器浸潤例に対する手術の意義については, 今後の検討が必要であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 骨肉腫, 転移性肺腫瘍, 肺切除, 予後因子, number-size score
このページの一番上へ