| Authors ： |
益田宗孝, 川内義人, 小江雅弘, 富永隆治, 木下和彦, 中島淳博, 麻生俊英, 戸嶋良博, 田中二郎, 徳永皓一 |
| Abstract ： |
三尖弁置換及び肺動脈弁置換術後の遠隔成績を検討し, 右心系弁置換における機械弁と生体弁の臨床的評価を行った. 1975年2月より1985年12月までに九州大学心臓外科において施行された三尖弁置換及び肺動脈弁置換症例中, 病院死を除く51症例52人工弁を対象とした. 内訳は, 生体弁34症例34人工弁であり, 機械弁17症例18人工弁であった. 用いた生体弁は, Hancock弁（22個）, Ionescu-Shiley心膜弁（9個）及びCarpentier-Edwards心膜弁（3個）であり, 機械弁はすべてSt.Jude Medical弁であった. 弁置換部位は, 生体弁群で三尖弁位29個, 肺動脈弁位5個であり, 機械弁群では各々9個, 7個であった. 累積追跡期間は生体弁群で207.2患者・年, 機械弁群で55患者・年であった. 弁不全発生率は, 生体弁群で0.48±0.48%/患者・年, 機械弁群で7.27±3.64%/患者・年であった（p＜0.001）. 弁関連合併症発生率は, 生体弁群で1.93±0.97%/患者・年であり, 機械弁群で9.09±4.07%/患者・年であった（p＜0.001）. 3年目における弁不全非発生率は, 生体主群では100±0%, 機械弁群では76.8±10.2%と生体弁が有意に良好であった（p＜0.05）. 右心系のみに弁置換を行った症例は, 生体弁14個, 機械弁10個であり, 累積追跡期間は, 各々, 94.2, 32.3患者・年であった. 弁関連合併症発生率は, 生体弁群では1.06±1.06%/患者・年, 機械弁群では12.4±6.2%/患者・年であった（p＜0.001）. 3年目における弁不全非発生率は, 生体弁群で100±0%, 機械弁群70±14.5%と生体弁が有意に良好であった（p＜0.05）. 生体弁群全体の弁不全非発生率は13年目でも96.2±3.7%と高値を保っており, 耐久性の面でも満足できると考えられた. 右心系の弁置換においては, 生体弁の使用が推奨される. |
