アブストラクト(37巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 一側肺動脈閉塞試験の適応に関する再検討
Subtitle : 原著
Authors : 前田元, 中原数也, 大野喜代志, 橋本純平, 三好新一郎, 松村晃秀, 水田隆俊, 明石章則, 中川勝裕, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 3
Page : 449-454
Year/Month : 1989 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 術前に一側肺動脈閉塞試験(UPAO)の行われた肺癌患者55例を対象に, その成績と呼吸機能検査, 局所肺機能検査及び血液ガスの成績との関連性を検討し, UPAOの適応患者の選択基準の設定を試みた. われわれは肺全摘術の機能的適応限界を, 患側肺動脈閉塞時の平均肺動脈圧(PPA)が25mmHg以下, または健側全肺血管抵抗係数(TPVRI)が700dyne・sec・cm-5・m2以下としているが, このどちらかを越えたものは7例(12.7%)であった. 各要因間の相関関係を検討すると, PPAと有意の相関が認められたものは, 健側換気比より求めた健側1秒量/体表面積(FEV1.0§)の逆数(r=0.366)と健側DLCO/体表面積(DLCO§)の逆数(r=0.324)であり, TPVRIと有意の相関が認められたものは, FEV1.0§の逆数(r=0.400), DLCO§の逆数(r=0.528), PaO2の逆数(r=0.430), 年齢(r=0.416)であった. 重回帰分析の結果, PPAと関連を持つものはFEV1.0§のみとなり, TPVRIと関連を持つものは, DLCO§の逆数, PaO2の逆数, 年齢の順となった. TPVRI~p=1,120/DLCO§+24,800/PaO2+6.40×Age(r=0.639, p<0.001)の重回帰式が得られた. これらの要因について, UPAOの機能的限界を越えたものを見落とさないように, 適応基準値を設定すると, Age≧55歳, PaO2≦85mmHg, FEV1.0§≦0.8L/m2, DLCO§≦6.0ml/min/mmHg/m2, TPVRI~p≧450dyne・sec・cM-5・m2となり, この時のspecificityは, それぞれ18.6%, 20.9%, 39.2%, 40.4%, 59.0%となった. 以上より, UPAOの適応患者の選択基準として, 実用上はFEV1.0§≦0.8L/m2またはDLCO§≦6.0ml/min/mmHg/m2を用いてよいが, false positiveを最小にするためには, TPVRI~p≧450dyne・sec・cm-5・m2を用いる方が適切であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 一側肺動脈閉塞試験, 肺切除術, 機能的適応
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