アブストラクト(37巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 三弁外科治療-とくに三弁置換例の臨床検討-
Subtitle : 原著
Authors : 今村好孝, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 3
Page : 478-483
Year/Month : 1989 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : われわれの教室では, 1972年3月から1987年4月までに僧帽弁, 大動脈弁, 及び三尖弁に対して同時に三弁外科治療を施行した症例は25例であり,このうち三弁置換14例に対し, 手術成績, 術前・術後の血行動態及び肺, 腎, 肝機能などの周辺臓器障害の変化について検討した. 三弁置換14例中4例がLOSにより早期に死亡し, 1例が術後39病日に呼吸不全により死亡した. 三弁置換例はいずれも術前NYHA機能分類III, IV度と重症例であり, 死亡例を除いて術後すべてI, II度に改善した. また生存例に術後平均23.5カ月後に心臓カテーテル検査を経人工弁的に施行した. なお, 人工弁はすべてSJM弁を使用しているため経人工弁的挿入は比較的容易であった. PAm, PCWP, CIは有意差をもって改善しているにもかかわらず, EFは改善傾向は示したものの有意差を認めなかった. これは三弁置換術により確実な弁機能の改善による血行動態の改善を得ることができたにもかかわらず, 手術までの長期にわたる罹患期間によって変性に陥った心筋を有する心機能は完全には回復を認めなかったと考えられた. 一方肺, 腎, 肝機能においても術後著明な改善を認め, 若干の溶血問題を除いては良好な術後成績を得ることができた. 大動脈弁置換術(AVR)+僧帽弁置換術(MVR)+三尖弁弁輪形成術(TAP)群との術前検査値の比較においては, 特に有意差を認めず, 数値的な術式のcriteriaを示し出すことができなかったが, 三尖弁閉鎖不全(TR)については弁尖の著明な器質的変化を認めるもの, 及びTAP施行するもTRの修復不能な症例に対して現時点においては, より良い弁機能の改善を求め積極的にSJM弁による三弁置換術の施行していく方針である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 三弁置換術, 三尖弁閉鎖不全, 三尖弁弁輪形成術, SJM弁, 術後弁機能
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