Abstract : |
昭和59年7月より, 昭和61年12月までの2年6カ月の間に, 冠動脈バイパス手術単独施行例314例中, 70例(22%)にCoronary Endarterectomyを施行した. 内訳は, 右冠動脈(RCA)48例, 左前下行枝(LAD)10例, LAD+RCA10例, その他2例であった. Endarterectomyを施行した症例群(END群)と, 同時期のEndarterectomyを施行していない症例群(NON群)とを, 術前因子, 手術術式, 手術成績などについて比較検討を加えた. 術前因子では, 冠動脈病変数, 狭心症重症度分類などに統計学的有意差はなかったが, END群がNON群と比較して, 若年で高脂血症の危除因子に有意差を認めた. 手術術式では, END群は平均冠動脈バイパス箇所が多く, 同時に人工心肺時間, 大動脈遮断時間も長かったが, PMI発生率, IABPの使用頻度, 手術死亡などはNON群と比較して有意差はなかった. 術後冠動脈造影所見で, Endarterectomyを施行したグラフトの開存率は, 77%(RCA:81.8%, LAD:75%, others:0%)であった. これは, 同時期のEndarterectomyを施行していない血管へのグラフトの開存率86.6%と比較して不良であるが, Endarterectomyを施行しなければ血行再建が困難である事を考えると, 臨床的に満足しうる成績であった. 特に, RCA Endarterectomyは, 手術術式も確立されており, 安定した臨床成績が得られ, 推奨しうる術式である. |