アブストラクト(37巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 異種生体弁による三尖弁置換術の経験
Subtitle : 原著
Authors : 藤井尚文*, 川副浩平, 小原邦義, 小坂井嘉夫, 鬼頭義次, 藤田毅
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓外科, *長野赤十字病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 3
Page : 504-509
Year/Month : 1989 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1979年より1986年までの間に, 三尖弁置換術(TVR)を32症例に施行した. 手術時年齢は32歳から69歳で, 後天性弁膜症19例, 先天性心疾患10例, その他3例であった. 使用した代用弁は牛心のう膜弁30個, ブタ大動脈弁2個であった. TVR後, 右室拡張末期圧及び右房圧は有意に低下し, 右心系への負荷は軽減した. 右室駆出率は術後低下する傾向にあったが有意差は認めなかった. AVブロックは5例に合併し, うち2例にペースメーカー植込術を施行した. 手術死亡は6例, 遠隔期死亡は3例であった. 代用弁に起因した死亡原因は認めなかった. 生存例と手術死亡例において術前後の心機能を比較すると, 術前の肺高血圧は手術の危険因子になると推測された. 1987年12月までの平均追跡期間は3年1カ月, 最長追跡期間は8年3カ月であり, この経過観察期間中, 高度の弁機能不全, 血栓弁, 肺血栓塞栓症, 代用弁感染は認めなかった. 機械弁によるTVR後の血栓弁は数多く報告されており, TVRには抗血栓性に優れた牛心のう膜弁が有利であると考えられた. なお, 高度の肺高血圧が残存した1症例において弁尖の軽度肥厚と軽度の逆流を認めた. 生体弁の耐久性は圧負荷によって低下することが考えられ, 肺高血圧を有する症例には機械弁を選択するほうが望ましいと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 三尖弁置換術, 異種生体弁, 牛心のう膜弁, 抗血栓性, 右室機能
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