アブストラクト(37巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 巨大側副動脈を伴う偽性総動脈幹症根治術後遠隔期に肺高血圧の進行がみられた1例
Subtitle : 症例
Authors : 三浦拓也, 松田暉, 中埜粛, 広瀬一, 川島康生, 井原勝彦*
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *紀南綜合病院心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 3
Page : 546-550
Year/Month : 1989 / 3
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 20歳の巨大側副動脈(MAPCA)を伴う偽性総動脈幹症に対し, MAPCAを結紮して弁付導管を用いた根治手術を施行した. 手術直後に肺高血圧クリーゼの発症があったがトラゾリンの投与が有効であった. 右室左室収縮期圧比は術直後0.70から2日後0.53へと低下し, 血行動態も比較的良好であり, 手術適応上の問題はないと考えられた. しかし術後遠隔期にトラゾリンや酸素にも全く反応しない高度の肺高血圧症を来し右心不全より失った. 本症例の肺高血圧の進行は閉塞性肺血管病変の進行によると考えられ, その発生因子として高手術時年齢, 肺高血圧クリーゼの発症, arborization anomalyを示すMAPCAの結紮, 巨大ブラの縫縮, 低酸素血症等の種々の因子が推察された. 偽性総動脈幹症の手術適応についてはこのような因子の考慮も必要と考えられた. 肺高血圧症(PH)を伴う先天性心疾患においてその根治術後一旦は肺動脈圧の下降を見るもののその後閉塞性肺血管病変の進行を来たす症例が完全大血管転位症(TGA)1)~3)をはじめ心室中隔欠損症(VSD)4)5)動脈管開存症(PDA)6)等で報告されている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 偽性総動脈幹症, 巨大側副動脈, 肺高血圧クリーゼ, 肺血管閉塞性病変
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