Authors : |
倉岡節夫, 小林稔, 折田博之, 島貫隆夫, 阿部寛政, 河野道夫, 乾清重, 深沢学, 鷲尾正彦 |
Abstract : |
弁置換術後急性期48時間までの術後左心機能動態に及ぼす, 術中心筋保護効果並びに術前左心機能の指標としてのLVEDPの影響に関し検討した. 対象は術前両心カテーテル検査が施行され, 色素希釈法で心拍出量を計測し, 術中大動脈遮断中左室心筋温を連続モニターし, 術後経時的に心拍出量を測定し得た弁置換術34例である. まず各症例毎にanoxic index(AnI, 大動脈遮断時間の心筋温の積分値)並びにSWI0×1,000/AnI(術前左心機能に心筋保護効果を加味した術後早期の左心機能の予測値)と術後SWIの相関性を検討した. 次にLVEDPと術前及び術後SWIとの相関性を検討した. その結果, 術後SWIは, SWI0とは術後(体外循環離脱後)24時間以降に正相関し, AnIとは術後6時間まで逆相関し, SWI0×1,000/AnIとは術後48時間を通じて正相関し, SWI0と逆相関したLVEDPとは術後48時間に至り初めて逆相関した. 以上より, 弁置換術後急性期24時間までの左心機能は, 術前左心機能よりも術中心筋保護の影響がより大きく, 48時間以降の術後左心機能は, 逆に術中心筋保護の影響は少なくなり, 術前左心機能の影響が大きくなることが明らかになった. |