| Authors ： |
岩崎甫, 鈴木章司, 高山豊, 秋元滋夫, 神谷喜八郎, 吉井新平, 橋本良一, 松川哲之助, 上野明 |
| Abstract ： |
9例の解離性大動脈瘤手術例（DeBakeyI型；2例, II型；1例, IIIa型；2例, IIIb型；4例）及び6例の非手術・降圧治療例（IIIa型：2例, IIIb型；4例）に対して治療前後に経食道超音波断層法検査を施行して, この検査法の解離性大動脈瘤手術例・非手術例の経過観察における有用性を検討した. 探触子はラヂアル・スキャン型とカラー・ドップラー付きのセクタ型の2種類を使用した. 内膜亀裂に対し切除や縫合などの処置を行った4例ではいずれも良好な結果を得たが, 他の手術例はdouble barrelで平衡を保っている状態を示した. 一方, 降圧治療例では限局解離の1例に解離の進行が観察され, また広範解離の3例には偽腔の狭小化を認め, そのうちの1例は, その後偽腔の完全閉塞を来し解離は治癒していたことが確認された. 以上の検索から, 経食道超音波断層法は腹部大動脈遠位側の変化や上行大動脈の一部が描出できない欠点を持つものの, 手術例ではグラフトの血流状態や吻合部の状況, 残存瘤の拡大, 大動脈弁逆流, 内膜亀裂の残存の有無, 偽腔内血栓の進行などを, また非手術例でも解離の拡大や進展, 偽腔内血栓や剥離内膜の肥厚などを診断し得ると思われる. 経食道超音波断層法は, 解離性大動脈瘤の経過観察に非常に有用な検査法であるといえる. |
