Authors : |
小澤修一*, 中村和夫, 岡田昌義, 久野克也, 山下長司郎, 太田稔明, 向原伸彦, 岡村雅雄, 喜多泰文**, 伊東宏** |
Abstract : |
解離性大動脈瘤の急性期治療を行う上で, どのような因子が予後を左右するかを検討すべく, 過去8年間の教室で扱った解離性大動脈瘤症例47例(手術症例32例, 薬物治療15例)と病理学教室における剖検例20例, 計67例を対象とし, 手術症例では発症から手術までの期間と手術になった理由及び手術死亡原因, 剖検症例では発症から死亡までの期間と死因を検索し, 以下の成績及び結論を得た. 剖検症例20例中15例(75%)が発症後2週以内の急性期死亡で, 15例中11例(73%)がI, II型で, 死因は心タンポナーデ, 心筋梗塞, 胸腔内破裂及び腎不全であった. また急性期手術症例16例中9例(56%)がI, II型で, 手術になった理由は, 剖検症例の死因と対応していた. 従って急性期ではI, II型のすべてが手術適応であると考えられた. 薬物治療症例15例中12例(80%)がIII型で, 急性期のI型は2例でいずれも血栓閉塞型と診断された. このうち1例は入院後3日で破裂により死亡した. 従ってI, II型ではたとえ血栓閉塞型と診断しても症状の持続するものは予後不良であり手術すべきである. 急性期手術の成績は, 手術死亡率12.5%, 遠隔死亡率19%とほぼ満足すべき結果であった. 急性期死亡の2例は広範な心筋梗塞と破裂による大量出血によるものであり, これらは予後不良因子と考えられた. |