アブストラクト(37巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁位Carpentier-Edwards弁の形態及び血行動態からみた経年変化
Subtitle : 原著
Authors : 大滝正己, 山口明満, 飯田浩司, 三木太一, 福島靖典, 美濃地忠彦, 田村栄稔, 北村信夫, 林亨*
Authors(kana) :
Organization : 国立大阪病院心臓血管外科, *国立大阪病院循環器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 4
Page : 645-649
Year/Month : 1989 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁位Carpentier-Edwards弁(以下C-E弁)の経年変化について検討した. 対象症例は僧帽弁位にC-E弁を使用し, 遠隔期に追跡可能であり, しかも, 心カテーテル検査あるいは心エコー法にて弁機能評価が可能であった30例である. 弁機能評価方法は以下の4つの評価法に従った. 臨床所見:新たに生じた拡張期ランブル, 収縮期雑音を聴取した時期, 心電図上心房細動に移行した時期, 心胸郭比の5%以上の増加に移行した時期の各々につき経年数との相関を求めた. 摘出弁標本:軟線撮影により石灰化の進行状態を調べた. 心エコー法:Pulsed Doppler法により弁口部血流を測定し, 血流障害の程度を経年的に調べた. 心カテーテル検査:同時圧より圧較差及び有効弁口面積を算出して経年的変化を調べた. その結果, 5年を過ぎると拡張期ランブルがまず聴取されつづいて収縮期雑音を認め, ほぼ同時期に心房細動への移行, 心胸郭比の増大を認めた. 軟線撮影では8年を過ぎると弁の交連部より石灰化が進行した. Pulsed Doppler法での弁口部血流障害の程度では6年を過ぎると正の相関関係をもって進行し, 心カテーテル検査でも6年を過ぎると正の相関関係をもって圧較差の増大, 弁口面積の低下が認められた. 以上よりC-E弁は弁置換後6年を過ぎると臨床症状, 心カテーテル, 心エコー上狭窄症状を呈していることが認められ, 特にPulsed Doppler法による血口部血流パターンの変化は血行動態の経年変化を容易に, しかも明確に表現し得る有効な手段であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Carpentier-Edwards弁, 経年変化, Pulsed Doppler法, 石灰化
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