Abstract : |
縦隔臓器浸潤は肺癌手術の可否を決定する要因である. 胸部X線CT等にて縦隔臓器浸潤の疑われた肺癌症例22例, 臓器別には, のべ27例に対し, 経食道的超音波内視鏡検査(以下, E-EUSと略)を施行し, その有用性について検討した. E-EUSの所見から浸潤の有無及び程度は, Grade0~IIIの4段階に分類し, 縦隔臓器を, (1)左主肺動脈, (2)大動脈, (3)左房~肺静脈, (4)上・下大静脈, (5)食道に分けて症例ごとに検討を行った. Grade0は, 腫瘤と周囲臓器との間にhyperechoic areaを認めるもの, GradeIIIの, 内腔に突出する病変は, CTや血管造影等にてある程度診断可能であるが, GradeIやIIの, 腫瘤が縦隔臓器壁に接するような場合には, CT等では浸潤の有無の判定が困難な場合が少なくない. E-EUSでは, 壁の層構造の微細な変化が描出され, 呼吸性移動や心・大血管の拍動との同期性の有無をreal-timeで, 動的画像として観察することにより, より正確な診断が可能であり, 本検討では, sensitivity, specificity, accuracyは, それぞれ77.8%, 81.8%, 80.8%であった. また, 上大静脈, 下行大動脈, 食道など縦走する臓器では, 壁に沿った浸潤範囲の推測も可能で, 必要な合併切除範囲の決定に有用と考える. |