アブストラクト(37巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺癌手術治療時, 縦隔郭清の必要性に対する考察-n0絶対的治癒切除相当例から-
Subtitle : 原著
Authors : 安光勉, 大嶋仙哉, 梁徳淳*, 桂浩, 奥村明之進, 早川正宣, 今分茂, 太田三徳, 中野昇, 古武彌宏
Authors(kana) :
Organization : 大阪府立羽曳野病院外科, *大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 4
Page : 664-670
Year/Month : 1989 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺癌手術治療時の縦隔郭清の是非について, 縦隔鏡到達可能域に転移が無い場合, その領域に対する郭清の必要性の有無から今回は検討した. 本検討の前段階となる縦隔鏡検査と肺切除時の郭清のN判定との一致率は, 到達可能域では99%, 判定可能域では96%と良好であった. 今回の対象は, 扁平上皮癌及び腺癌の病理学的T1,2, N0, P0,1例で, 郭清度以外は絶対的治癒切除相当の183例をまずまとめて検討した. 扁平上皮癌(110例)の予後は, 絶対的治癒切除(絶治)74例, 相対的非治癒切除a(相非)36例でそれぞれ, 3生率75%, 64%, 5生率64%, 49%であった. 腺癌(73例)では, 絶治53例, 相非20例で, 3生率86%, 61%, 5生率64%, 49%であった. 両組織型で予後に若干の差を認めたので, 合わせて検討すると絶治, 相非で3生率80%, 60%, 5生率70%, 52%となり, p<0.05で絶治群が良好であった. 両群の背景因子を比較すると絶治群にいわゆる早期癌が多く, 相非群に高齢者が多いという片寄りがあった. 縦隔鏡検査陰性例を対象としたrandomized trial群のみを検討すると, 扁平上皮癌(30例)では, 郭清群13例, 非郭清群17例となり, それぞれ3生率84%, 89%, 5生率73%, 67%であった. 腺癌(23例)では, 郭清群13例, 非郭清群10例で, 3生率100%, 63%, 5生率100%, 63%であった. 両組織型を合わせると, 3生率で郭清群, 非郭清群94%, 78%, 5生率で82%, 70%となり, いずれの群にも有意差はみられなかった. なお, 本検討例中では, 縦隔リンパ節からの再発例はなかった. 現時点では, T1,2, N0, M0, P0,1縦隔鏡検査陰性例には, 縦隔郭清の必要性は認めなかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌切除, 縦隔郭清, 予後
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