Abstract : |
成人開心術において体外循環中の各種免疫能の変動と, 術後ICUにおける末梢血白血球数との関連を検討した. 術後, 常に末梢血白血球数が15,000/μl未満であったA群19例と, 術後1週間以内に15,000/μl以上を示したB群33例について, 免疫グロブリン(IgG, IgA, IgM)濃度, 補体(C3,C4, CH50)値, 及びモノクローナル抗体を用いて測定した末梢血リンパ球サブセットの変動を比較した. 免疫グロブリン, 補体とも体外循環中減少したが, 両型間に差を認めなかった. リンパ球ではhelper/inducerT細胞や, supressor/cytotoxicT細胞のサブセットに2群間の差はなかったが, 非特異的細胞性免疫を示すと考えられるNK細胞の比率がA群ではB群より有意に大きく体外循環中に上昇していた. 逆にNK細胞の体外循環中の上昇が40%以上の高度増加を認めたものは, 40%未満の低増加率のものより, 末梢血白血球数増加が軽度に留まった. 末梢白血球数が術後感染の1つの指標であり, NK細胞が異物侵入の際, 初期に発動する非特異的感染防御機構であると考えれば, その体外循環中の上昇は術後感染防御の点では生体にとって有利であると考えられる. |