アブストラクト(37巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術症例の再灌流時における過酸化脂質および心筋カルシウムの検討
Subtitle : 原著
Authors : 島貫隆夫, 小林稔, 折田博之, 深沢学, 阿部寛政, 倉岡節夫, 乾清重, 鷲尾正彦
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 4
Page : 688-693
Year/Month : 1989 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 再灌流時における過酸化脂質の関与並びに心筋カルシウム動態について検討を行った. 成人開心術症例20例(平均54.2歳)において再灌流前後の血中過酸化脂質を測定, また15例において体外循環前及び遮断解除後早期の心房筋組織Ca, Mg含量を測定した. 血中過酸化脂質は大動脈遮断解除直前(1.37nmol/ml)に比し解除後増加し, 再灌流5分後でピークに達し(1.45nmol/ml, p<0.01)その後一旦減少し, 部分体外循環後再び増加する2相性の変化を示した. 遮断解除前に対する再灌流後除細動前における最大の過酸化脂質上昇率(△TBA%)は12.32%(p<0.001)であった. △TBA%と大動脈遮断時間との間には有意な正の相関関係を認めた(p<0.01). 再灌流早期における体外循環前値に対する心房筋Caの増加率(△Ca%)は18.5%で, Ca/Mgの増加率は24.5%であった(p<0.05). 大動脈遮断時間と△Ca%間に正の相関関係を認めた(p<0.05). 再灌流時の過酸化脂質上昇及び心筋Ca増加は虚血-再灌流障害に起因するものと考えられた. 再灌流時において心筋組織で異常な脂質過酸化が起こっており, これはカルシウムの流入も含め膜の構造や機能の障害と深い関係にあるものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 再灌流障害, 過酸化脂質, TBA, 心筋カルシウム, フリーラディカル
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