アブストラクト(37巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Autoperfusionによる心肺保存の研究-保存条件及び保存肺の機能について-
Subtitle : 原著
Authors : 松岡正紀, 牧野茂行, 服部良二, 井村正史, 東憲太郎, 森本保, 矢田公, 並河尚二, 湯浅浩, 草川實
Authors(kana) :
Organization : 三重大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 4
Page : 694-701
Year/Month : 1989 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Autoperfusionによる心肺保存法を確立するため, 至適保存条件並びに保存肺の機能について検討を加えた. 雑犬43頭を用い, 心肺を一塊として摘出しautoperfusion下に6時間の保存を行った. 保存温度29℃, 血流量30ml/kg/minに調節し, 換気条件はFiO2 30%, FiCO2 5%, 1回換気量15ml/kg, 換気回数10/min, PEEP 5cmH2Oに設定した. また保存中はglucose・insulin・K+(GIK)を各々0.03g・0.05U・0.02mEq/kg/hrで持続投与した. その結果, 出血にて実験を中止した初期の3例を除き, 6時間以上の保存が可能であった. 心は経過中sinus rhythmを保ち, 不整脈は認められなかった. 保存中の血液ガス所見及び血清電解質濃度は極めて良好で安定しており, 保存1時間の時点でpHの補正を要したものがあった以外は全く補正は不要であり, 終始一定の条件下で保存を行った. 6時間保存後の肺内水分量は0.79±0.01で, コントロール(非保存)群の0.78±0.01に比して約1%の増加にとどまった. 呼気圧量曲線は両群間に差はなく, 単位湿肺重量当たりの静肺コンプライアンスに関しても, コントロール群0.51±0.06ml/g・cmH2Oに対して保存群0.47±0.02ml/g・cmH2Oと有意差はなかった. 組織学的には保存心・肺とも異常所見を認めなかった. 以上より, われわれの保存条件を用いたautoperfusion法では, 肺機能を6時間生理的に維持することが可能であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Autoperfusion, 心肺保存, 肺保存, 心肺移植, 肺機能
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