Abstract : |
気管支動脈のinterventional angiographyは, 肺癌の局所療法に広く応用され, また各種非癌肺疾患に起因する喀血に対する治療法としても確立されている. しかし, 大動脈から分岐する気管支動脈は, 特に右側ではしばしば脊髄動脈, 食道動脈などと動脈幹を共有するために, 従来の気管支動脈カテーテル法では各動脈枝の支配領域に重篤な合併症をもたらす場合があることが報告されている. われわれは合併症の可及的防止を目的として, 独自の二重管法を考案し, 右気管支動脈が他の動脈枝と共通幹を形成する場合(ICBT型)に, 固有の気管支動脈へのカテーテル挿入を可能にした. これは太いカテーテルをガイドとして, その中を通して細いカテーテルを選択的に固有気管支動脈に進める二重管法で, 必要に応じてSuper-selector guide wireを使用し, 高度の選択性を可能にした方法である. この新しい二重管カテーテル法による超選択的気管支動脈カテーテル法(SS-BAC)を30例に試みたところ, 26例(87%)に成功した. 26例中肺癌に対する超選択的動注(SS-BAI)は15例, 転移性肺腫瘍に対するSS-BAIが1例, 喀血に対する超選択的塞栓術(SS-BAE)は10例である. 本法により, 気管支動脈からの動注治療が安全でより効果的になると考える. |