アブストラクト(37巻4号:日本胸部外科学会雑誌)
Title : | 胸腺に原発した腺癌の1例 |
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Subtitle : | 症例 |
Authors : | 森山重治, 清水信義, 栗田啓, 寺本滋, 田口孝爾* |
Authors(kana) : | |
Organization : | 岡山大学医学部第2外科, *岡山大学医学部病理部 |
Journal : | 日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : | 37 |
Number : | 4 |
Page : | 717-722 |
Year/Month : | 1989 / 4 |
Article : | 報告 |
Publisher : | 日本胸部外科学会 |
Abstract : | 胸腺右葉に原発した多房性胸腺嚢腫の内腔に発育した腺癌の1例を報告した. 症例は51歳女性. 甲状腺機能亢進症の精査のために当院内科に入院し, 前縦隔腫瘍を発見されて当科を紹介された. 腫瘤は胸腺右葉に存在し, 浸潤傾向を認めず, 腫瘤と共に胸腺右葉を摘出した. 腫瘤は組織学的に多房性の嚢腫で, その周囲の脂肪組織中には退縮した胸腺組織が存在した. 嚢腫の被覆細胞は, 扁平上皮, 立方上皮, 移行上皮という多彩な像を呈したが, そのうちの1つが異型性を伴う1層の円柱上皮で覆われ, その内腔に乳頭状管状腺癌が増殖していた. 嚢腫の被覆細胞の多様性から, 胎生期に内胚葉起源の鰓弓性上皮が胸腺組織に迷入して胸腺嚢腫となり, 腺上皮に分化した細胞から癌化したものと考えられた. 本症例は術後14年間健在であり, 他臓器からの転移性の可能性はないと思われる. 胸腺に発生する上皮性悪性腫瘍としては, 胸腺腫, 扁平上皮癌, カルチノイドなどが知られている. |
Practice : | 臨床医学:外科系 |
Keywords : | 胸腺癌, 腺癌, 胸腺嚢腫 |