アブストラクト(37巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道癌術前合併療法としての温熱療法の基礎的及び臨床的研究
Subtitle : 原著
Authors : 花岡明宏, 磯野可一
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 6
Page : 1094-1104
Year/Month : 1989 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道癌に対する新たな集学的治療の1つとして温熱療法を導入しその有用性について基礎的及び臨床的に検討した. C3H/Heマウス自然発生扁平上皮癌細胞を用いた実験的研究では温熱療法の抗腫瘍効果は単独でも認められ, 照射や化学療法との併用により作用の増強が認められた. また, 遠隔転移(肺転移)は腫瘍局所の増殖を抑制することで減らすことができ, 温熱療法単独でも肺転移数は減少した. 術前合併療法に温熱療法を導入した症例は32例であり19例は照射+温熱療法, 13例は照射+免疫化学療法+温熱療法を行った. その組織学的効果は照射+温熱療法でEf3 26.3%, 照射+免疫化学療法+温熱療法でEf3 46.1%と従来の照射や化学療法を主とした合併療法に比べ高い効果が得られた. また温熱療法併用例では, 従来照射効果が不良であった, 鋸歯型やらせん型, ロート型にも良好な組織学的効果が得られ, A3症例に対してもEf3の割合が高く, 手術適応の拡大, 並びに治癒切除率の向上に有益と思われた. 更に, A3症例においては, 術後早期に生ずる局所再発の減少傾向が認められ, 短期予後の改善にも有益と思われた. また, 以前より懸念されていた, 温熱療法併用による遠隔リンパ節転移の促進は認められなかった. 以上より, 周囲臓器への浸潤が予想され合併切除が困難なA3症例には, 温熱療法を併用した合併療法は有意義と思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌術前合併療法, 組織学的効果, 局所温熱療法, RF誘電加温, C3H/Heマウス
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