Abstract : |
不整脈外科治療のためのLASER ablationが, 今後, 従来の不整脈治療法を補強する新しい治療手段とかり得るか否かを, Nd;YAG LASER照射装置(model 101 IS:日本赤外線工業社製)を用いた動物実験を通じて組織学的に検討した. 照射条件を大気中で照射距離5mm, 照射出力10~50Watts, 照射時間3~20秒とし, 雑種成犬9頭に対して, 常温心拍動下に心外膜側心室自由壁及び弁輪部へYAG LASERを照射した. なお, 実験犬は急性期犬7頭, 慢性期犬2頭とした. 変性域を肉眼的, 光顕的に観察すると共に, 照射条件との関係を検討し, 更に催不整脈性の有無を右室プログラム刺激によって確認した. 急性期の変性域は, 周囲心筋との境界が明瞭な半球状のcoagulation necrosis及びcontraction band necrosisであった. 慢性期になると, 変性域のみならず周囲心筋まで若干広がった範囲で完全な線維組織に置換され, より境界明瞭な線維巣を形成した. 照射エネルギー量(Joule:Watts×sec)と変性域最大深度との間には相関係数0.79(n=52, p<0.01)の正相関を認めた. 右室プログラム刺激では急性期に単発のRepetitive Ventricular Responseを認めただけで, 心室頻拍は誘発されなかった. 以上より, LASERは調節性に優れ短時間で確実に限局した範囲をablationできる長所があり, 今後, 不整脈治療の一手段として有用であると考えられた. |