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crystalloid cardioplegic（St'Thomas Hospital）solutionは成熟心筋に対して有効であるが, これまでの報告ではこの効果が未熟心筋にも通用するかどうかは確固とした知見がない. そこで著者は, 72頭の生後2～4週の仔犬の摘出心を用いて, cardioplegiaの使用により3群に無作為に分け, （A群：single-dose cardioplegia, 10ml/kg, B群：multiple-dose cardioplegia, 初回10ml/kg, 追加20分ごとに5ml/kg, C群：cardioplegia非使用）120分15℃のglobal ischemia及び30分の再灌流を行った. 心筋超微形態学上の変化を系統的に調べ, 特にmitochondriaについては半定量化を行った. また重量法による心筋水分量, 高エネルギーリン酸化合物（HEP）濃度, 左室収縮終期圧容積比（Emax）の回復率, 自然除細動率を検討比較した. 電顕所見ではglobal ischemiaに伴う心筋虚血性変化はC群がA, B群よりも強くまた高頻度に認められ, これは心筋HEP濃度が低いことにより裏付けられた. 細胞内疎開化はA群でB, C群よりも少なく, これは重量法よりもとめた心筋水分量の結果と一致していた. 左室機能は3群間に差は認められなかったが, C群での細動からの自然離脱は明らかに遷延していた. 以上により, 未熟心筋の虚血性変化に対してcrystalloid cardioplegiaはsingle-dose, multiple-dose法ともに有効であるが, single-dose法は心筋の細胞内浮腫が軽度であるので, 局所冷却とsingle-dose法との併用が好ましいことが示された. |
