アブストラクト(37巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 新生児総肺静脈還流異常症の外科治療経験
Subtitle : 原著
Authors : 石原和明, 手塚光洋, 河田政明, 松尾浩三, 澤渡和男, 原田順和, 福地普治, 副島健市, 黒沢博身, 今井康晴
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 6
Page : 1143-1147
Year/Month : 1989 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 新生児総肺静脈還流異常症の外科治療は新生児に与える体外循環の影響, 補助手段, 術式の選択などの問題がありその治療成績は今まで不十分であった. 本症に対してわれわれは1981年以降補助手段を表面冷却併用超低体温循環遮断法より中等度低体温併用体外循環法に変更し, 主として手術術式をGersony-Malm法よりposterior approch法にし大動脈非遮断で心内修復を行い手術成績は飛躍的な向上を認めたので報告する. 新生児期に発生する本症は肺静脈狭窄を伴い術前状態が重篤であるため非侵襲的な断層心エコー図だけで診断し可及的早期に心内修復術を施行した. 手術は中等度低体温体外循環下にI, III型ではposterior approach法, II, IV型ではcut-back法, Van Praagh法を用い循環遮断,大動脈遮断は行わなかった. posterior approach法では心臓を翻転し心室細動下に左房切開口から心房中隔欠損を閉鎖し左房と共通肺静脈管を吻合した. 肺静脈の切開は左右の肺静脈には切開を延長せず垂直静脈及び共通肺静脈管にとどめた. Cut-back法あるいはVan Praagh法では刺激伝導障害を防ぐため冠静脈洞内部で冠静脈洞を閉鎖した. 手術成績は18例中死亡4例, 死亡率22.2%, 死因はLOS1例, 頭蓋内出血1例, 肺高血圧2例であった. LOSにより死亡した症例は術前に心停止を来した症例であり, 頭蓋内出血した症例は高浸透圧液による体外循環充填液を使用した症例であった. 肺高血圧により死亡した2症例では術後の肺高血圧を術前から予想することは困難であった. 現在では治療成績にとって, 最も大きな要因は患児の術前状態と術後の肺高血圧であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 新生児, 総肺静脈還流異常症, 中等度低体温体外循環, posterior approach法, 肺高血圧
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