Abstract : |
肺に器質的病変を有する急性呼吸不全犬モデル22頭を作成し, 下大静脈近位部脱血, 外頸静脈送血のV-Vバイパス(VVB)を施行した. バイパス率をバイパス前心拍出量の20%, 40%, 60%, 80%とし, 各々について人工肺酸素血流量比(V/Q)を1.0, 2.0, 3.0に変化させて, VVBによる呼吸補助効果及び血行動態変化について検討した. 更にVVBによる血中炭酸ガス除去効率の指標としてVVBCO2R;(下大静脈遠位部血炭酸ガス分圧)-(肺動脈血炭酸ガス分圧)を設定してバイパス率と血中炭酸ガス除去効率の関係を検討した. バイパス率60%以上で動脈血酸素飽和度の有意な上昇を認めたがその程度は軽度であり, V/Q変化による動脈血酸素加能の調節も不能で, 酸素加の補助手段としては有効とは言えなかった. 一方, 血中炭酸ガス除去能はバイパス率20%の低流量でも強力であった. バイパス率増加により動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)は低下したが, 20%群と40%群, 40%群と60%群, 60%群と80%群間の差はバイパス前値と20%群値との差に比し極めて小さく, 回路内再循環による血中炭酸ガス除去効率の低下を示唆した. VVBCO2Rは, バイパス率を40%以上に増加させても有効な増加を示さないことより,バイパス率40%以上で回路内再循環が特に顕著となると考えられた. V/Q変化によるPaCO2の調節が可能であった. 血行動態は体循環系では著変を認めず, バイパス率40%以上で肺動脈圧の有意上昇を認めた. |