アブストラクト(37巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 慢性僧帽弁閉鎖不全症外科治療の左室への効果とその予知
Subtitle : 原著
Authors : 妹尾嘉昌, 青木淳, 黒住要, 七条健, 柳英清, 米花正晴
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 6
Page : 1163-1168
Year/Month : 1989 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 慢性僧帽弁閉鎖不全症の外科治療が左室に与える効果を確認し, その効果の存否を術前に予知する方法を求めようとした. 対象は僧帽弁置換術を施行した30症例である. 術前と術1年後の左室の拡張・収縮末期径, 重量, 拡張・収縮内径/壁厚比を比較し, 各パラメーターのうち全症例の平均値推移と1つでも反対方向の推移をとったものを, 手術に対する左室の対応が異常であった群とした. 7例存在し, うち2例は遠隔期死亡, 4例は有愁訴例であった. この7例の術後収縮能(FS, mVcf)は他23例(正常対応群)より有意に低値であった. すなわちこれらは手術の左室への影響・術後心機能面からも, また愁訴面からも僧帽弁置換術の効果が十分には発揮されなかった症例であろう. 左室異常対応群と正常対応群では, いずれの術前パラメーターも有意な相異はあるが, その最大値・最小値は重複しており, 1パラメーターでは術前に予知することは不可能であった. またDsI・FSの2パラメーターの組み合わせでも全例の予知は不能であった. しかし左室の収縮・拡張速度をみると, これも術前両群間に有意差はあるが, 最大値・最小値に重複がみられた. ところがこの両者を組み合わせると収縮速度1.70以下, 拡張速度2.20以下の範囲内に7例すべてが入り, 他の症例でこの範囲内に入るものはなかった. 従って, この両者の組み合わせが, 僧帽弁閉鎖不全症の外科治療により左室がいかなる対応を示すかを, 術前にpredictする可能性がより高いことが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 慢性僧帽弁閉鎖不全, 外科治療の意義, 術後状態のpredictor, -n dD/dt, +n dD/dt
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