アブストラクト(37巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 術後の限外濾過法が著効を呈した急性腎不全を伴う感染性心内膜炎の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 末田泰二郎, 小路泰彦, 川上恭司, 浜中喜晴, 石原浩, 松浦雄一郎
Authors(kana) :
Organization : 広島大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 6
Page : 1217-1222
Year/Month : 1989 / 6
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 感染性心内膜炎により, 僧帽弁腱索が断裂し, 僧帽弁閉鎖不全症が急速に増悪し, 急性肺水腫に陥った症例に対し, 緊急僧帽弁置換術を施行し, 更に術後の心不全に続発した腎不全に対し, 限外濾過法を用いることにより救命し得た. 症例は40歳女性で, 39℃の発熱と軽い心不全症状にて入院. 血液培養にて黄色ブドウ球菌を検出し, 感染性心内膜炎の診断で抗生物質の大量投与を行った. 入院14日目に急性肺水腫に陥り, 乏尿となったために, 翌日緊急僧帽弁置換術を施行したところ, 僧帽弁前尖の腱索が断裂していた. 術後も利尿剤に対する反応が悪く, 心不全, 腎不全が遷延したために, 術後1日及び2日目に, 限外濾過法により, 各々1,000及び2,000mlの除水を循環動態の悪化を招くことなく施行し得た. その後, 心不全, 腎不全症状は著明に改善した. 急性心不全に続発した腎不全例では限外濾過法が著効を呈することがあると思われた. 感染性心内膜炎(Infective Endocarditis, 以下I.E.)は, 近年抗生物質の進歩により, その起炎菌が変貌をとげ, 従来起炎菌の大部分を占めていた連鎖球菌に対し, より毒性の強いブドウ球菌や, 抗生物質難治性の真菌やグラム陰性菌が増加しつつある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 感染性心内膜炎, 僧帽弁腱索断裂, 急性肺水腫, 腎不全, 限外濾過法
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