Authors : |
宮沢総介, 堀越茂樹, 鈴木茂, 杉田洋一, 佐々木達海, 古川仁, 高倉宏充, 宮本尚樹, 奥山浩, 新井達太 |
Abstract : |
1980~1984年の間に64例に対してIonescu-Shiley pericardial xenograft(ISPX)を用いて僧帽弁及び三尖弁置換術を施行した. このうちfollow-upが可能であった48例を対象として, 断層心エコー図法及び超音波ドプラー法を用いて, ISPXの経年変化について追跡, 観察した. その結果, 1.僧帽弁位のISPXでは, 明らかな弁尖肥厚の出現率は, 3年で5%, 5年で31%, 6年では46%であった. 2.わずかなエコー輝度増強のみの微細な変化まで含めると, その検出率は2年で15%, 3年で28%, 5年で52%, 6年では61%と高率であった. 3.左室流入血流最大速度は1.2~1.5m/sec.であり, 正常に機能している限り数年に渡って不変であった. 逆流を生じると流速は速くなり, 2m/secに達する例では再弁置換を必要とした. 4.明らかな弁尖肥厚所見の出現部位は, 人工弁の装着方向とは無関係に, 前方(流出路側)に位置する弁尖に多い傾向がみられた. 5.三尖弁位のISPX5個には異常は認められなかった. 64例中, 弁機能不全は6例(9.4%)に認められたが, 弁機能不全を生じていない例でも弁尖の変性は高率に生じていることが判明した. ISPXによる人工弁置換例に対しては, 心エコー図, ドプラー法を用いて頻回に検査を行い, 慎重に経過観察する必要がある. |