アブストラクト(37巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の免疫能の変動
Subtitle : 原著
Authors : 佐々木達哉, 新津勝宏
Authors(kana) :
Organization : 岩手医科大学第3外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 7
Page : 1297-1305
Year/Month : 1989 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 単純低体温下開心術を中心とした術後の免疫能を調べるために白血球, リンパ球, 免疫グロブリンの変動を検討した. 単純低体温下開心術16例, 体外循環下開心術9例, 開胸非開心術9例について, 術前及び第1, 第3, 第7, 第14病日に採血し, 白血球数, リンパ球数, T細胞数, B細胞数, モノクローナル抗体Leu3a及びLeu2a陽性細胞数, 免疫グロブリン(IgG, IgA, IgM)濃度を測定し, 次の結果を得た. 1.白血球数は各群とも第1病日で有意に上昇した. 体外循環下開心術後は上昇率が他群より大きく, 回復が遷延した. 2.リンパ球数は単純低体温下開心術後, 体外循環下開心術後で第1, 3病日で有意に減少した. これは主としてT細胞の減少によるものであり, Leu3a陽性細胞, Leu2a陽性細胞ともに有意に減少した. また, 第1病日ではLeu3a陽性細胞/Leu2a陽性細胞比が低下傾向を示した. しかし, 単純低体温下開心術後は体外循環下開心術後より早期に回復傾向を示した. 開胸非開心術後は第1病日にリンパ球数が減少したが軽度であった. 3.免疫グロブリン濃度は, 各群とも正常範囲を下回ることはなかった. 単純低体温下開心術後第7, 14病日でIgMが正常範囲を越えて上昇した. 単純低体温下開心術後, 体外循環下開心術後のいずれも免疫能は低下する. 小児と成人の違いとも考えられるが, 単純低体温の低下は軽度であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 単純低体温下開心術, 体外循環下開心術, 免疫能
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