アブストラクト(37巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁逆流を伴った左心室瘤に対する手術術式の選択と術後遠隔成績
Subtitle : 原著
Authors : 水谷哲夫, 高尾仁二, 片山芳彦, 井村正史, 東憲太郎, 鹿野和久, 田中国義, 矢田公, 湯浅浩, 草川實
Authors(kana) :
Organization : 三重大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 7
Page : 1322-1328
Year/Month : 1989 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁逆流を伴った左心室瘤20例に対し外科治療を行い, 術前後の臨床症状や僧帽弁逆流の程度, 更に左室機能の推移などを検討し, 術式の選択基準を明らかにした. 手術死亡はなく, 臨床症状は術前平均NYHA2.9度であったが術後には平均1.4度へ改善した. 術前の僧帽弁逆流はSellers1度11例, 2度6例, 3度2例, 4度1例であったが, 術後には15例で逆流は消失し, 1度2例, 2度1例, 3度2例となった. 術後にSellers2度以上の逆流が残った3例(A群)と消失あるいは1度に軽減した17例(B群)に分け, 左室機能を比較検討した. LVEDVIは両群で術後に低下し, 特にB群では正常値化した. abnormal contracting segment(%ACS)は, B群では術前47±11%より術後27±10%へ有意に(p<0.005)低下したが, A群では術後も40±6%と高く術前と有意差はなかった. LVEDP, EFはA群では術前後に有意差を見なかったが, B群ではいずれも有意に低下した. A群の3例ではいずれも術中に乳頭筋自身の梗塞が確認されており, このような例では瘤切除術にA-Cバイパス術や弁輪形成術を併用しても逆流のコントロールは難しく, 僧帽弁置換術が必要と考えられた. 術後5年生存率は94.4%, 8年生存率は72.1%であり, 遠隔死を左右する因子は僧帽弁逆流の遺残と冠状動脈病変の進行であった. よって遠隔成績の向上には, 逆流の確実なコントロールと積極的な冠血行再建が不可欠である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左心室瘤, 乳頭筋不全, 僧帽弁逆流, 僧帽弁置換術, abnormal contracting segment(%ACS)
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