Authors : |
森下清文, 数井暉久, 渡辺敦, 荒木英司, 瓜田雷己, 田宮幸彦, 菊地誠哉, 山本直樹, 田中利明, 小松作蔵 |
Abstract : |
安静時拡張機能に及ぼすA-Cバイパス術の効果を非梗塞群及び梗塞群に分類し検討した. 対象はグラフトの開存を確認できた20症例で, これを非梗塞群10例(I群)と梗塞群10例(II群)に分類し, 術前, 術後の変化及び正常対照例8例とを比較検討した. 拡張機能の指標として, 弛緩性に関しては左室圧下降脚時定数T, max(-)dp/dt, 圧-容積関係に関しては拡張期コンプライアンス, 拡張早期の容積変化に関しては1/3fractional fillingを用いた. 1.時定数T及びmax(-)dp/dtはI群, II群とも術前値は対照群と有意差を認めず, また, 術後の変化も認めなかった. 2.拡張期コンプライアンスはI群, II群とも術前値は対照群と有意差を認めず, 術後の変化も認めなかった. 3.1/3fractional fillingはI群, II群とも術前値は対照群に比し高値を示したが(p<0.05, p<0.01), I群では術後の有意な改善を示し(p<0.05), II群では術後の改善を認めなかった. 以上より, 非梗塞群では冠血行再建により拡張早期の容積変化の改善が認められたが, 梗塞群では拡張機能の改善が得られないことが示唆された. |