アブストラクト(37巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 動脈硬化性胸部大動脈瘤手術症例の検討
Subtitle : 原著
Authors : 上村重明*, 中島伸之, 安達盛二, 安藤太三, 藤田毅
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科, *千葉市立海浜病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 8
Page : 1459-1464
Year/Month : 1989 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 動脈硬化性胸部大動脈瘤の外科治療の成績向上のため, 1983年1月より1985年12月までに経験した胸部大動脈瘤定時予定手術症例113例(動脈硬化症52例, 非動脈硬化性61例)を対象に, 手術における危険因子を追求した. 検討事項は手術成績並びに手術部位別, 年齢別成績及び術前合併症-腎機能障害(血清クレアチニン≧1.4mg/dl), 肺機能障害(一秒率あるいは%肺活量<70%), 冠動脈疾患, 脳血管障害-の有無と手術成績, 術後合併症発生頻度であった. その結果, 動脈硬化性群の近接死亡率は19%で, これは非動脈硬化症群(6.5%)に比し高かった. 特に弓部に手術操作を加えた症例の近接死亡率は50%と高かった. 死亡例には動脈硬化に起因したと思われる術中術後合併症を多く認めた. また, 70歳以上の高齢者, 術前腎機能障害, 肺機能障害を有する症例の手術成績は悪かった. 一方, 現在狭心痛の無い冠動脈疾患, 発症3カ月を経過した陳旧性の脳血管障害はさほど大きな危険因子では無かった. 以上の結果より, 動脈硬化性胸部大動脈瘤の外科治療では, 弓部に手術操作を加えること, 70歳以上の高齢, 術前腎機能障害, 術前肺機能障害は大きな危険因子であり, そのような症例では, 特に慎重な手術適応, 手術方式の決定が必要であると思われた. また動脈硬化に起因した術中術後合併症の防止も重要であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部大動脈瘤, 動脈硬化, 術前術後合併症
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