アブストラクト(37巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症術後遠隔成績と心機能
Subtitle : 原著
Authors : 宮村治男
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 8
Page : 1469-1480
Year/Month : 1989 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 教室にて1965年から1984年までの20年間に施行したファロー四徴症(TF)は279例で, そのうち243例が術後追跡可能であった. この遠隔期症例を対象とし, 生存状況, 不整脈, 運動能について検討を加えた. 遠隔死亡は243例中13例(5.3%)に認め, うち10例(4.1%)が心臓死であった. 累積生存率は10年94%, 15年94%, 20年90%であった. 突然死は3例(1.2%)に認めた. 出産は19例の女性に26回の出産を確認した. 心不全のために妊娠中絶を要した例はなく, 出生児に心奇形はなかった. 遠隔期48症例に施行したホルター心電図では, 23例(48%)にLown2度以上の重症心室性不整脈を認めた.重症心室性不整脈症例群では正常群に比して, 根治術年齢が高く(12.4±8.7歳 vs.5.0±3.7歳), 術後経過年数が長く(11.2±4.8年 vs.8.2±3.7年), 右室拡張末期圧が高く(10.0±2.7mmHg vs.7.0±2.4mmHg), そして右室・大動脈圧収縮期圧比が高い(0.48±0.15 vs.0.36±0.08)という結果が得られた. 74症例にトレッドミル運動負荷試験を施行したが, Ellestad法のプロトコールの非完了群は完了群に比し, 右室拡張末期圧が高く(9.5±3.2mmHg vs.7.6±2.4mmHg), 且つ右室駆出率の低下(0.41±0.07 vs.0.47±0.04)が認められ, 右室機能の低下が運動能を制限していることが示唆された. 右室流出路再建術式別に遠隔期心機能をみると, 弁輪を越えたパッチ症例群では, 心拍出量・心室駆出率では他術式と有意差はないが, 両心室の拡張末期容量の増大が認められた. 全症例のevent-free rateは10年95.3%, 15年92.8%, 20年76.9%で, 15年以降に不整脈・心不全の症状発現が増加しており, TF術後症例では長期にわたる経過観察が重要であることが示された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 遠隔成績, 心室性不整脈, トレッドミル負荷試験, Event-free rate
このページの一番上へ