アブストラクト(37巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁置換術後の心機能評価-運動負荷RI angiographyを用いて-
Subtitle : 原著
Authors : 松崎智哉, 数井暉久, 森川雅之, 中西克彦, 山田修, 岡本史之, 佐々木孝, 杉木健司, 小松作蔵, 津田隆俊*
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学第2外科, *札幌医科大学放射線科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 8
Page : 1504-1510
Year/Month : 1989 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Omniscience弁を用い大動脈弁置換術を施行した大動脈弁閉鎖不全症20例を術後早期群9例, 遠隔期群11例に分け, 運動負荷心拍同期心プールシンチグラフィーを用い, 左室収縮能及び安静時拡張能を健常者6例の対照群と比較検討し, 以下の結論を得た. 1.LVEDVIに関しては早期群はいまだ正常域に達せず, 術前の容量負荷の影響が残存していた. 一方遠隔期群では, 正常域内に達していた. 2.早期群は安静時には良好な心機能を示したが, 負荷時には遠隔期群, 対照群と異なり, 有意な変化は示さず, 運動耐容能, 心予備能の回復には至っていないことが示された. 3.遠隔期群では負荷前後の心機能は対照群と差は認めず, 負荷に対する反応性も良好で, 運動耐容能は正常に近く回復していた. しかし, 心予備能を各指標につき(負荷時値-安静時値の絶対値)/安静時値×100を変化率(%△)とし検討した結果では, 対照群との間に%△1/3EF, %△TPEにおいて差を認め, 駆出期早期収縮の心予備能の低下が示された. 4.安静時拡張能を1/3FF, PFRを用い検討した結果, 大動脈弁置換群(早期, 遠隔期)の拡張期早期充満能の低下が示された. 5.RIアンジオグラフィー法は, 大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁置換術後の運動耐容能, 心予備能評価には有用で, 特に駆出期早期指標である1/3EF, TPE, 拡張早期指標である1/3FFは遠隔期症例をも健常者と区別し有用な指標と考えられた. 以上より, 大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁置換術は, 心容積の減少をもたらし, 運動耐容能の回復をもたらすが, これには時間を要し, 更に, 駆出期早期収縮能の回復は得難いものと推測された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 大動脈弁置換術, 心拍同期心プールシンチグラフィー, 運動負荷左室収縮能, 左室拡張機能
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