Authors : |
田中一穂, 梅本真三夫, 加戸靖, 熊本隆之, 桜井義也, 大本一夫, 斉藤幸人, 藤尾彰, 野々山明, 香川輝正 |
Abstract : |
昭和60年より62年までの3年間に感染性気腫性嚢胞を4例経験した. 症例は18歳から61歳,平均46歳で, 男性3例, 女性1例であった. 男性3例は既存の気腫性嚢胞に感染を起こし, 女性1例はSLEに対するステロイド治療中に発生したブドウ球菌性肺炎時に形成された気嚢腫に感染を起こしたものである. 全例とも抗生物質の全身的投与を行いつつ小口径のチューブで経皮的にドレナージを行い, 同時に感染腔の殺菌剤(ポピドンヨード希釈液)による洗滌を行った. 2例はこれのみで腔の浄化と共に嚢胞の縮小閉鎖が得られたが, 残り2例は腔の浄化と縮小後に手術を行い, 全例治癒した. 感染性気腫性嚢胞に対する経皮的チューブ挿入による吸引排膿及び洗滌の組み合わせは, 肺機能の低下した重症例においても安全に行われ, 速やかに症状や全身状態の改善が得られ, 更には本法のみで腔の著明な縮小閉鎖を達成する場合もあり, 本疾患の治療法及び術前処置として有用であり, 更には小口径のドレナージチューブを用いることにより患者に与える苦痛を最小限に止めることができ, 優れた方法と考えられる. |