アブストラクト(37巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 年長者Fontan型手術の7年間の術後経過
Subtitle : 症例
Authors : 保浦賢三, 岡本浩, 関章, 小川裕, 広瀬豊*, 阿部稔雄
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部胸部外科, *名古屋大学医学部輸血部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 8
Page : 1581-1585
Year/Month : 1989 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 三尖弁閉鎖症(TA)は乳幼児期に死亡することが多く, 短絡手術などの外科治療を受けずに成人に達する場合は少ない. 著者らはhypoxic spellを主訴とするTA(Ib)の38歳男性に対して右房の流入部にも流出部にも弁を挿入しないFontan型手術を施行して成功し, 術後は7年間にわたって経過を観察する機会を得た. TAの年長者例は慢性の低酸素血症と左室容量負荷のため左室機能の障害を示すことが多く, それ故にFontan型手術の手術成績も遠隔期の成績も不満足と報告されている. しかし著者らの症例は術前の左室機能も良く術後急性期も順調に経過し臨床症状の改善は著明であった. 術後7年間は良好な臨床症状が観察されたが, 7年目に施行した心臓カテーテル検査では低心拍出量状態と左冠動脈前下行枝の70%狭窄を認めた. また術後7年間の血液検査において, 肝及び腎機能の異常は認めなかったものの多血症のみ遷延してみられた. 三尖弁閉鎖症(TA)は比較的頻度が低い先天性心疾患であるうえに, 成人に至るまで生存する症例は少ない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 年長者三尖弁閉鎖症, Fontan型手術, 多血症
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