アブストラクト(37巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 縦隔胸管嚢腫の1例
Subtitle : 症例
Authors : 足達明, 渡辺次郎, 都志見睦生, 西村寛, 枝国信三, 掛川暉夫
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 8
Page : 1586-1589
Year/Month : 1989 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は27歳女性で, 約2年前より仰臥位になると背部に圧迫感があった. 1987年4月の職場の健康診断にて胸部異常陰影を指摘された. 胸写にて右下肺野縦隔側に半円形の腫瘤陰影を認め, 食道造影で腫瘤は食道を前方に圧排していた. 術前の超音波内視鏡,CT, MRIにおいて腫瘤は嚢胞であることが疑われた. 手術を施行し, 術中超音波検査にて嚢腫内にlow echoicな部分とhigh echoicな部分が混在する所見が得られた. また胸管との交通が疑え, 嚢腫の内容は乳糜液であった. 術後の病理組織検査にて嚢腫壁は胸管の構造を保っており胸管嚢腫と診断された. 術後経過は合併症もなく良好であった. なお術中超音波検査で得られた所見は今後の嚢腫の診断に有用と思われた. 縦隔に発生する胸管由来の嚢腫はまれなもので1950年にEmerson1)が生存中に診断された最初の症例を報告して以来, 1980年にTsuchiyaら2)により8例の集計報告がなされ, 1985年には藤野ら3)により超音波内視鏡にて観察しえた症例として15例目の報告がなされている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸管嚢腫, 乳糜液, 術中超音波検査
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