アブストラクト(37巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 破裂胸腺カルチノイドの1症例
Subtitle : 症例
Authors : 春日井尚, 葛西猛, 遠藤幸男, 小林国男, 橋本憲三*
Authors(kana) :
Organization : 帝京大学救命救急センター, *博慈会記念病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 8
Page : 1602-1607
Year/Month : 1989 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 破裂により血胸及び縦隔拡大を来した胸腺カルチノイドの1例を報告すると共に, 本邦38例の文献的集計に基づき破裂の機序に関する考察を試みた. 症例は61歳男性で, 他院にて胸部X線上, 縦隔腫瘍と診断されたが, 検査中, 突然胸痛と呼吸困難が出現し, 同腫瘍の破裂が疑われたため当センターへ転院となった. 緊急手術の結果, 前縦隔に多量の凝血塊を含む実質性腫瘍を認め右胸腔に穿破していた. 病理組織学的に胸腺カルチノイドと診断された. 本邦報告例で破裂を伴ったものは自験例が最初であるが, 腫瘍内出血, 壊死を起こしているものは, 記載が明確であった31例中16例(51.6%)に存在した. 従って, 胸腺カルチノイドは破裂の可能性を秘めた腫瘍と考えられ, その破裂は重篤な合併症の1つと思われる. カルチノイド腫瘍は, 消化管や気管支などの原腸系臓器・組織に散在性に分布する内分泌系細胞原基の腫瘍と考えられ, 比較的緩慢な臨床経過と共に, 特徴ある組織像, 多彩な活性物質を分泌するもののあることから, カルチノーマとは区別される機能性腫瘍の1つとして注目されてきた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腺カルチノイド, 腫瘍破裂, 緊急手術, 腫瘍内出血
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