アブストラクト(37巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体肺シャント術後12年目の三尖弁閉鎖症にみられた末梢性仮性肺動脈瘤の1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 橘秀夫*, 山口眞弘, 細川裕平, 大橋秀隆, 大嶋義博, 坪田紀明**
Authors(kana) :
Organization : 兵庫県立こども病院胸部外科, *三木市立三木市民病院外科, **兵庫県立成人病センター胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 8
Page : 1608-1613
Year/Month : 1989 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 12歳の女児. 三尖弁閉鎖症にて生後2カ月時に上行大動脈右肺動脈側端吻合術が行われたが, 11歳時より全身溶連菌感染に反復罹患し, 約1年後に胸部異常陰影と血痰が出現し入院した. 心大血管造影, 胸部CT, 気管支鏡検査の結果, 三葉間部肺動脈幹に生じた孤立性仮性肺動脈瘤による気管支壁穿破と診断され, 瘤破裂の危険性が高かったので, 緊急手術が行われた. まず左側Blalock-Taussig手術, 次いで仮性動脈瘤を含めた右中下葉切除と肺動脈上幹の絞扼術が行われ, 救命し得た. 本例における仮性肺動脈瘤の原因は, 全身溶連菌感染から波及した肺動脈壁感染が推察されたが, 体肺シャントによる乱流や血管壁へのストレスも誘因になったと考えられた. 術中術後の重篤な低酸素症を乗り切れたのは, 動脈瘤切除に先立ち左肺に体肺シャントを造設したことと, 右上葉を温存し得たことによると考えられた. 仮性肺動脈瘤は極めてまれな疾患であるが, 致命的な合併症である瘤破裂の頻度は高く, 早期の外科手術を必要とする疾患である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 仮性肺動脈瘤, 感染性動脈瘤, 体肺シャント合併症, 三尖弁閉鎖症
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