Abstract : |
単純浸漬法による心保存において, われわれが臨床で使用しているカリウム心停止液(K+=23mEq/l, Na:25.2mEq/l)と細胞内液類似の組成をもつCollins液(K+:115mEq/l, Na:10mEq/l)の保存効果を比較検討した. 雑種成犬22頭より得た摘出心を用い, 24時間保存前, 後での心機能の回復率, 心筋水分含有量の変動, 心筋微細構造の変化, 心筋ミトコンドリアスコアを検索した. 心機能は摘出心を自家血灌流装置で冠灌流し, 左室内に挿入したバルーンによってnon-working beat下に等容性左室機能を測定することにより求めた. 左室のdeveloped pressure(84~76%対35~37%), dp/dt(90~52%対44~39%)はCollins液群に比しカリウム心停止液群が有意に良好な回復を示した. 左室complianceもカリウム心停止液群で有意に良好に保たれた. Collins液群では保存後有意に水分含有量が増加し, 電顕的にも細胞内浮腫がみられ, ミトコンドリアの膨化, クリスタの崩壊が著明であった. 以上の結果より, 24時間単純浸漬法による心保存では, われわれのカリウム心停液がCollins液より優れていると結論した. |